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完璧主義という名の病

のらくら日記。

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副音声

~本日は諸事情により、テキサス州にお住まいのジョージ・キングストン(38)による副音声にてお送りいたします~

Heyキャサリン、聞いてくれよ。今日夕食を作ろうと冷凍庫を開けたらひき肉が二キロほどもあったんで、ハンバーグを作ろうと思ったのさ。でも材料をそろえようとしたらパン粉がない。仕方がないから買いに行こうとしたんだが、そこで自転車のタイヤの空気がすっかり抜けていることを思い出したんだ。いつも朝出かけるときは時間がなくて空気を入れないままだったから、ついでに今日こそ入れてやろうと思った。
タイヤに空気を入れるときには当然、タイヤを見るよな? 僕も当然、これから空気を入れる自転車の後輪を見た。自転車に鍵を挿し、バルブを空気の入れやすい位置に持って来ようとスタンドを立てたままタイヤを回し…そして、発見してしまったんだ。タイヤの接地面に張り付いている小さきMOSURAを。
あまり大きな声ではいえないが、僕は昆虫の中でも特にMOSURA系の奴らは好きじゃない。奴らの飛び方と来たらどんな規則性があるのやら、全く動きが予測できないからね。
僕は恐る恐る空気を入れながら考えた。まず、この小さきMOSURAは生きているのだろうか? 死んでいるなら何も問題はない。軽く棒か何かでつついて払い落とすだけだ。僕がおっかなびっくり空気を入れていると、その衝撃で──全く残念なことに──MOSURAは、確かに身じろぎをした。こうなったら穏便に飛び立ってもらうより他はない。
しかしさっきも言ったように、僕はMOSURAの飛び方が苦手だ。下手につつくのも怖い。
悩んだ挙句、ああ、今考えれば全く浅はかだったと思うが、僕はそろそろとタイヤを動かすことによって彼が危険を感じて飛び去ってくれることを期待した。誰だってタイヤと地面に挟まれるのは嫌だろうから、きっと彼はそうしてくれると思ったんだ。
僕はそうっとタイヤを動かし…まだ彼は飛び立たない…更にそろそろと動かして…彼が何処に張り付いているのか、もう僕の位置からは見えない…少しずつ動かして…やはり誰も飛び立たない。
僕は意を決して自転車を持ち上げて、位置をずらし、そして地面を見た。
するとそこには、見るも無残な……Oh,God。これ以上はご想像にお任せするよ。残酷な話は好きじゃない。
ただ、今日僕が眠る前にジーザスに懺悔するのを忘れていたらそっと教えてくれ。あの哀れなMOSURAのために祈ってやったのか、ってね。

~以上、昆虫が特別苦手な方への配慮として本日は副音声でお送りしました~
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